2000年代邦楽アルバムベスト20位~1位

20位 Acid mothers temple & The Cosmic Inferno 「Pink Lady Lemonade - You're From Outer Space」

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英紙WIREの表紙を飾るなど海外での評価も高いサイケデリック・ロックバンドが、あふりらんぽピカチュウを迎え初期からの代表曲をスタジオ録音したアルバム。果てしなく続くようなクリーントーンのギターリフと掻きむしるようなフィードバックノイズの中で、どこかリラックスした雰囲気の60sサイケを展開させている。

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19位 JUDY AND MARYWARP

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90年代に一世を風靡したYUKI率いる4人組ロックバンドの、解散前最後のアルバム。TAKUYA(ギター)が作曲からプロデュースまでイニシアチブを取ったことで、実験性が増加。J-POPを研ぎ澄ました先にある前衛、コロンブスの卵のような傑作。

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18位 くるり「図鑑」

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ジム・オルークと共同プロデュースした2nd。同時代のオルタナ表現をジャンクに解釈し、不況和音や捻くれた変拍子の上で言葉を呪詛のように撒き散らすさまは、今なおグロテスクなほどの魅力に満ちている。

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17位 nujabes「Metaphorical Music」

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レーベルHydeout Productionsの主宰であり、2010年に急逝したトラックメイカーの1st。安直なイージーリスニングやクラブジャズには陥らず、客演のSubstantialやCise Starのラップが煌びやかなトラックを彩っている。

https://www.youtube.com/watch?v=K0Kfrj--djw

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16位 toe「the book about my idle plot on a vague anxiety」

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デビューEPで話題を集めていた4人組インストゥルメンタル・ポストロックバンドの1st。流麗なツインギターアルペジオが音圧の強い空間系のドラムに絡むサウンドは、後のシーンに大量のフォロワーを産んだ。邦楽ポストロックのスタンダード的な1枚。

https://www.youtube.com/watch?v=5MbvIKkvpzE

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15位 envy「君の靴と未来 - ALL THE FOOTPRINTS YOU'VE EVER LEFT AND THE FEAR EXPECTING AHEAD -」

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国内ポスト・ハードコアシーンのパイオニア的バンドの2nd。疾走する激情ハードコアと静的な轟音ポストロックが渾然一体となったスタイルが、前人未到カタルシスを生んでいる。

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14位 昆虫キッズ 「My Final Fantasy

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ゼロ年代末期、「東京インディー」と呼ばれたシーンの中心的存在だったバンドの1st。君と僕は最後のファンタジーを取り戻すことも、27歳で死ぬことも出来ない。そんな諦念を振り払うかのような破れかぶれのロックンロールには、どこか冷めた感覚がある。

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13位 Lamp「恋人へ」

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ニューソウルからボサノヴァまで咀嚼した、現代のシティポップの聖典。ポップスの歴史を更新するような瑞々しさにあふれた楽曲群を、全盛期のブライアン・ウィルソンのような神々しさを纏った永井祐介のファルセットが歌い上げる。

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12位 上原ひろみ「Spiral」

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ブルーノート・ニューヨークやフジロックへの出演歴もあるジャズピアニストの3rd。全曲がオリジナルのピアノ・トリオ編成で、複雑な変拍子を用いながら30分以上にも渡る組曲などをプログレッシヴに展開している。

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11位 Borisboris at Last -Feedbacker-」

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日本を代表するストーナーロックバンドの、ドローン/アンビエント サイドの名義「boris」でのリリース。ドゥーム級にヘヴィなリフ、幾層にも重なったフィードバックノイズがある1点を過ぎたところで爆発する全1曲44分。

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10位 銀杏BOYZ 「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」

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GOING STEADYを解散した峯田和伸によって結成、2枚同時リリースされた1st。過剰でラウドなプロダクションの中で綴られるキーワードはブルーハーツ、ひばりくん、酒鬼薔薇...それは自ら火をつけた青春パンクというムーブメントへのある種のメタ表現であり、だからこそムーブメント自体にもトドメを刺した。

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9位 syrup16g「HELL-SEE」

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ポリスやスミスをフェイバリットに挙げるバンドが切り取ったのは、2000年代の日本のリアル。劣悪な環境で短期間のレコーディングを強行した結果手に入れた、閉塞感のあるくぐもった音がリスナーの感情をどこまでも深く沈み込む、メランコリックな内省へと導く。時代を象徴する1枚。

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8位 Cornelius「Point」

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渋谷系の首謀者が自身のレーベルからリリースした4thソロ。音響それ自体と戯れているような作りが前作「FANTASMA」から大幅に飛躍。水の滴る音、アコギのカッティング、虫や鳥の鳴き声...といった様々な素材が目まぐるしくステレオを駆け巡りながら決して実験的過ぎず、ポップに開けた感覚を残している。

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7位 相対性理論「ハイファイ新書」

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レコード会社には所属せず、メディアへの露出も避けながら口コミで話題を集めたバンドの1stフル。やくしまるえつこの抑揚のない歌声の扱われ方はボーカロイドのそれにも近く、アノラック系やスミスの影響をチラつかせる体温の低いギターポップをアンニュイに彩っている。

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6位 Boris「あくまのうた」

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前作「Heavy Rocks」からさらに攻撃性を増した5th。エッジが効きすぎてささくれ立ったリフが容赦なく隙間を埋め尽くし、ストーナーとドゥームの領域を拡張する一方で長尺の曲では轟くようなサイケデリアを纏ったインプロを披露している。

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5位 nujabes「Modal Soul」

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Terry Callier本人によるカバー②"ordinary joe"やSHING02との④“Luv(sic.)pt.3”など、豊富なネタ使いが冴え渡る傑作2nd。本人のキャリア全体の中でも代表作であり、今もなお広大なネットの海にそびえ立つLo-fi Hip Hopの金字塔。

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4位 NUMBER GIRL「SAPPUKEI」

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ポスト・ハードコア色を強め、殺伐とした詩世界にも磨きがかかった3rd。デイヴ・フリッドマンのプロデュースによるソリッドな音像で、フリクション「軋轢」を2000年代の東京に完璧なまでにアップデート。

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3位 椎名林檎勝訴ストリップ

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前作で華々しいデビューを飾った女性SSWの、250万枚を売り上げた2nd。自ら「新宿系」と名乗るセルフ・ブランディングの巧みさばかりがクローズアップされがちだが、その徹底した「虚」である身振りこそがポップスターとしての優秀さの証明に他ならない。邦楽史上に残る超傑作。

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2位 BORIS「Pink」

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スラッジメタル / シューゲイザー / ドローンといったジャンルの境界をなぎ倒し、世界的な知名度を上げた代表作。モーターヘッドジーザス&メリーチェインがぶつかり合うようなカタルシスを経て、最終曲⑪"俺を捨てたところ"では10分以上に渡るフリークアウトを炸裂させている。

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1位 ゆらゆら帝国「空洞です」

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解散前のラストアルバム。それまでの作品でうるさく鳴っていたギターは大きく後退し、代わりに無機質なクラウトロック的ビート感覚と煌びやかなサックスを導入。ぽっかりと空いた時代の虚無を見つめているかのような、うつろなファンクネスを響かせている。

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最後に、この企画の主旨に賛同してくれた景浦さん、ペソさんにspecial thanksを。

ありがとうございました。