2000年代邦楽アルバムベスト100位~81位
100位 石橋英子「Drifting Devil」
元PANICSMILEのドラマーによる2ndソロアルバム。ライヒからスラップ・ハッピー辺りまで想起させる、ピアノとドラムを中心としたプログレッシブ・ポップ。エンジニアはAxSxE(BOaT, NATSUMEN)が担当。
石橋英子「Drifting Devil」 - YouTube
99位 GAGLE「BIG BANG THEORY」
仙台出身の3人組ヒップホップグループの2nd。所謂ニュージャズ的な文脈でも語られるDJ MITSU THE BEATSのトラックの上で、手数の多いHUNGERのラップが畳みかけるように綴る東北の地からのアジテーション。
gagle/BIG BANG THEORY - YouTube
98位 ZENI GEVA「10,000 Light Years 」
元YBO2のKK NULLがリーダーを務めるバンドの、スティーヴ・アルビニ録音による目下の最新作。ツインギターにドラムのみのトリオ編成でShellacやMelvinsと共振するヘヴィロックを鳴らす。
zeni geva 10,000 light years - YouTube
97位 ミワサチコ「BEAUTIFUL PLACE」
博多のガールズパンクバンド「LOOP01」出身のシンガーソングライターによる、1stソロ。ベースに田代貴之(渚にて)、ドラムに北村茂樹(蝉)を加えた3人組で、Lo-Fiかつ儚げな質感のうたものをあくまでポップに聴かせている。エンジニアは中村宗一郎(ex ゆらゆら帝国)。
96位 Spangle call Lilli line「Nanae」
Felicity所属の3人組による益子樹(ROVO)プロデュースの2nd。エレクトロニカ的なアプローチも色濃かった1stから一転、リズム隊にサンガツのメンバーを迎えたことによるストイックな人力グルーヴが、繊細ながらもタフな印象を残すポストロック。
SPANGLE CALL LILLI LINE - E - YouTube
95位 Plastic Tree「トロイメライ」
90年代から活躍するヴィジュアル系バンドの4th。The CureやDinosaur Jr.直系のオルタナティブロックを基調としながら、ぶ厚くディストーションのかかったギター、性急な曲展開が国内のロックとの同時代性を感じさせる。編曲でNARASAKI(COALTAR OF THE DEEPERS)も参加。
Plastic tree - トロイメライ(Full album) - YouTube
94位 ツチヤニボンド「ツチヤニボンド」
マルチプレイヤー兼メインソングライターである土屋貴雅が率いる3人組の1st。バンドが掲げる『トロピカリズモ meets はっぴいえんど』 というキャッチコピーの通り、ブラジル音楽やブラックミュージック、日本語ロックがごった煮になった快楽がある。
ミツバチのサンバ/ツチヤニボンド 2011.1.29@国分寺North Exit - YouTube
93位 キエるマキュウ「TRICK ART」
CQ(BUDDHA BRAND)とMAKI THE MAGIC、ILLICIT TSUBOIが組んだヒップホップユニットの1st。サイケかつオールドスクールなトラックの上で好き放題やってるラップがとにかく楽しい。⑤”土曜日の実験室”での宇多丸の客演が白眉。
キエるマキュウfeat. 宇多丸/土曜日の実験室 - YouTube
92位 国府達矢「ロック転生」
元MANGAHEADのシンガーソングライターによる本人名義での1st。"ロックブッダ"を自で体現するかの様なボーカリゼーション、幾重にも重ねられたギターリフ、音のレイヤーが民族音楽的な響きで迫る。ここから次作まで15年のスパンが空いたことも致し方ないのかも、と思わせる完成度のロックアルバム。
91位 ヒダリ「ヒダリのしっぽ」
神戸の3人組ロックバンドの1st。⑨”タイムトラベルは楽し”の曲名から分かるように日本なりのニューウェーブリバイバルといった趣で、デビュー当時は「NUMBER GIRLの再来」とか「00年代のフリッパーズギター」とか呼ばれてたみたいだけど、どれもしっくりこないので「和製of Montreal」とかにしておきたい。
ヒダリ - 少女B | hidari - Shojo B - YouTube
90位 GREAT3「When you were a beauty」
90年代から活動するロックバンドの、ジョン・マッケンタイアがプロデュースした6th。各パートの音がクリアに分離したシカゴ音響派ならではのプロダクションだが、ボーカルはあくまでソウルフル。ギターとホーンアレンジにジェフ・パーカー(Tortoise)も参加。
89位 Kiwiroll「SQUEEZE」
札幌出身のロックバンドの1stフルアルバム。USハードコアや国内のオルタナティヴなシーンからの影響が色濃いバンドで、あぶらだこやbloodthirsty butchersから受け取ったバトンをQomolangma Tomato等後続のバンド達に手渡した、という意味では00年代の1つのターニングポイントか。
キウイロール/バカネジ/kiwiroll - YouTube
※ アルバム自体は廃盤ですが、↑のリマスター盤の1~12曲目が丸々アルバムと重複しています。
88位 andymori「andymori」
早稲田大学出身のメンバーで構成された3人組ロックバンドの1stフルアルバム。The LibertinesなどのUKトラッドなガレージロックを咀嚼した楽曲と、インドから高円寺周辺のカルチャーまでを歌った歌詞に独自性がある。
andymori "everything is my guitar" - YouTube
87位 ホッピー神山「意味のないものには意味がある」
プロデュース業やCM音楽で知られる作曲家のソロ名義での8th。吉田達也や鬼怒無月などのメンバーに16人編成の弦楽オーケストラを加えた大所帯で、フランク・ザッパを彷彿とさせるプログレッシブロックを鳴らす。
86位 Tatsuhiko Asano「Genny Haniver」
90年代に発表したEPをアレック・エンパイアが気に入り、同氏が主宰するレーベルからデビューに至ったという異色の経歴のミュージシャンの1st。自宅録音されたギター中心のモコモコとした響きのエレクトロニカ。
Tatsuhiko Asano - Lemonade [Genny Haniver] - YouTube
85位 徳永憲「眠り込んだ冬」
滋賀県出身のSSWによる完全セルフ・プロデュースの2nd。軽妙なホーンセクションを交えたパワーポップはディランやアレックス・チルトンを想い起させるが、渋谷系的スノビズムへの皮肉と嫌味に満ちている。
84位 サンヘドリン「満場一致は無効」
灰野敬二、ナスノミツル、吉田達也によるスーパーグループのスタジオ録音。灰野のボーカルギターを軸とした即興的なノイズロックだが難解さは無く、不失者や他の灰野ソロよりもポップに仕上がっている。
83位 狂うクルー「Battle Disco!!!」
収録時間38分、とにかく早いカオティックハードコア。
82位 Luminous Orange「Drop You Vivid Colours」
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのトリビュートへの参加や、トラットリアからのリリースで知られるロックバンドの4th。浮遊感のあるメロディに攻撃的なフィードバックノイズを重ね、オルタナティブロックやシューゲイザーを独自に解釈している。ゲストにNUMBER GIRLから中尾憲太郎、アヒト・イナザワが参加。
Luminous Orange-How High - YouTube
81位 Tujiko Noriko「ハードにさせて」
急進的な電子音楽レーベル<エディションズ・メゴ>からのリリースで知られる女性アーティストの3rd。断続的なノイズと加工されたボーカルが幾重にも重ねられた、エクスペリメンタルな手触りのグリッチポップ。ゲストにイルリメが参加。