2000年代邦楽アルバムベスト40位~21位
40位 zOoOoOm「Eight My Heart」
京都のインディーシーンで活動する轟音スリーピースサイケバンドの、唯一の音源。ダブやレゲエを通過しながら、シャーマンのごとく響くボーカルとみだれ打ちのドラミングがトランス的な高揚感を煽る。マジでこれ1枚でBOaTやBoredomsと比肩するバンド。必聴!
39位 前野健太「ロマンスカー」
埼玉出身のSSWの、自主レーベルからリリースした1st。四畳半のパーソナルな出来事からモラトリアムの終わりについてまで歌った歌は、どこかカンタベリーのような温かみを持っている。マスタリングは中村宗一朗。
38位 DJ Krush「寂 -Jaku-」
日本のhip hop黎明期から活動するDJの、全米カレッジチャートで3週連続1位を獲得した8th。尺八や三味線などの和楽器をフィーチャーしながら直截的なオリエンタリズムには陥らず、ジャズやトリップホップとも適度な距離を保った独自の表現を成立させている。
https://www.youtube.com/watch?v=d8qIMO1hf8s
37位 eX-Girl「Endangered Species」
Dead Kennedysのジェロ・ビアフラ率いるAlternative Tentaclesレーベルからリリースされた5th。コズミックなサウンドの中で'60sサイケやガレージ、ディスコをごった煮にしたような一大ロックオペラ。プロデュースはホッピー神山。
https://www.youtube.com/watch?v=gwf5XDQjtgk
36位 G.I.S.M. 「SoniCRIME TheRapy」
東大赤門ギグなどで悪名高い1980年代の東京のハードコアシーンを代表するバンドの、15年ぶりの3rd。不在の空白を塗りつぶすような音圧のギターと横山サケビによる言葉にならない絶叫が、聴く者全てを圧倒する暗黒の教典。
https://www.youtube.com/watch?v=OmyiMdwfGlM
35位 BOaT「RORO」
ギターボーカルのAxSxEを中心に結成されたロックバンドの、ポストロック的な音響を全面的に取り入れた4th。キャッチ―なギターリフ、打ち鳴らされるスネアの隙間からにじみ出るCANの遺伝子。夏を終わらせるな!
34位 スーパーカー「HIGHVISION」
プロデュースに砂原良徳を迎え、電子音楽的なアプローチに接近した4th。ソフトな打ち込みと生ドラムを組み合わせた変則的なリズムや、同じフレーズの反復から祝祭的なダンスチューンに切り替わるような、遊びの感覚が冴え渡っている。
33位 HALCALI「ハルカリベーコン」
モデルとしても活動するフィメールラッパーユニットの1st。RIP SLYMEのRYO-ZとDJ FUMIYAの全面プロデュースによるトラックと気怠い脱力系のラップは、Kero Kero Bonitoや水曜日のカンパネラに10年先駆けた。
32位 高円寺百景「Angherr Shisspa」
ドラムの吉田達也を中心に結成された、MAGMAのコピーバンドを母体とするズール・プログレ系バンドの4th。金澤美也子(る*しろうKey)、 山本響子(オペラソプラノVo)、小森慶子(渋さ知らズSax)が参加したことによりジャズロックの枠に収まらない豊穣なサウンドを確立している。
https://www.youtube.com/watch?v=LHDOALyDOO8
31位 トクマルシューゴ「EXIT」
1stと2ndの相次ぐ海外リリースで注目されたSSWの3rd。50種類以上の楽器や、身の回りの日用品を楽器代わりに自ら演奏、録音、編集する偏執狂的なこだわりを見せながらも宅録的な閉塞感は無く、あくまで"うた"に比重を置いたことによるポップで開けた印象が残る。
https://www.youtube.com/watch?v=Li_nc8ED6qI
30位 Lily Chou-Chou 「呼吸」
映画『リリイ・シュシュのすべて』に登場する架空のシンガーソングライターから生まれたSalyu、小林武史、岩井俊二による同名の音楽ユニット。サイケデリック・ロックの体裁を取りながら、か細く透明なSalyuの歌声と小林武史によるエレクトロニカ的な音響処理が14歳の少年のナイーヴィティを昇華する。
29位 Perfume「◢」
前作「GAME」でオリコンチャート1位を獲得した3人組テクノポップ・ユニットの3rd。フレンチ・エレクトロやディープハウスの波を感じさせる中田ヤスタカによるトラックは攻撃性を増し、オートチューン加工されたボーカルがレトロフューチャーな感覚のポップスを完成度の高いものにしている。
28位 宇多田ヒカル「DEEP RIVER」
10代でデビューした当時の世間的なイメージから離れ、日本的な情緒をたたえた3rd。遠藤周作『深い河』からインスピレーションを受けた歌詞はどこか翳りに満ちているが、ラストを飾る⑫"光"がそこに射しこむ光明のように眩しい。
27位 七尾旅人「ヘヴンリィ・パンク:アダージョ」
全35曲2時間半を超える2枚組の超大作2nd。天使、あの子、海辺といったモチーフがさまざまなスタイル(フォーク、ボサノヴァ、Gファンク...)の楽曲達と一緒に「Selected Ambient Works Volume II」の巨大な繭の中でじゃれているような、2000年代随一の怪盤。
26位 ススム・ヨコタ「Grinning Cat」
前作「SAKURA」(1999)が国内外で絶賛されたコンポーザーの、UKのLEAFレーベルからリリースされたフル・アルバム。ダンスミュージックとしての機能性は保ちながらどこかフロアとは隔たったところで鳴らされているような、静謐なミニマル・アンビエント。
25位 麓健一「美化」
にせんねんもんだいのレーベル「美人レコード」からリリースされたCD-R作品が話題を呼んだSSWの1st。教会で鳴らされているかのようなピアノ、無骨なリズムマシーンを病的なファルセットが包み込む。ニック・ドレイク、アーサー・ラッセルの系譜を継ぐ、新しい"うた"の萌芽。
24位 Ghost「Hypnotic Underworld」
東京を拠点に活動するサイケデリック・ロックバンドの、ベースに守屋拓之、パーカッションに立岩潤三が加入した新体制での7th。23分間のタイトルトラック、強度のあるリフをツェッペリン的に展開させる⑦"Piper"、トライバルなパーカッションに重なるフルートが怪しげな⑧"Ganagmanag"など、70sプログレやケルト系サイケを独自に解釈している。
23位 Ryoji Ikeda「Dataplex」
現代音楽 / 電子音楽の分野で世界的な知名度を持つ作曲家の7th。プツ、プツ、と断続的に鳴らされるミニマルなグリッチが、綿密に構成されたビートの上で近未来のポリリズムを奏でている。
22位 DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN 「アイアンマウンテン報告」
菊地成孔が主宰する11人編成ビッグバンドの1st。70年代のエレクトリック・マイルスを参照点にしながら、アフロ的なポリリズムの揺らぎで再編された菊地雅章、ジミ・ヘンドリックスのカバーも含む全6曲。
https://www.youtube.com/watch?v=WufyBWU67WM
21位 山本精一「クラウン・オブ・ファジー・グルーヴ」
Boredoms、ROVOや想い出波止場などで活動するマルチプレイヤーの、制作に5年以上の歳月を費やした「真のファースト・ソロ」。無数のメロディとビートが溶け合うように混ざり合い、ジャンル分け不可能なグルーヴを維持したまま迎えるラストトラック⑧"Mantral"が感動的。